胃・大腸
検査結果が悪いからといって必ずしも病気が潜んでいるとは限りません。精密検査の指示のある方は必ず医療機関にご相談ください。
また、検査項目は関連性がありますので単独の検査項目だけでなく、他の検査結果と合わせてご覧ください。
胃(胃部X線、胃がんリスク検査、ペプシノゲン(PG)、ピロリ菌抗体、)検査からわかること
胃の働きは?
胃は口から食べた物を、胃液を使って消化・分解し栄養として体に吸収しやすい形にする働きをしています。
胃部X線
胃を膨らませるための薬とバリウムを飲み、胃を膨らませた状態で胃のレントゲン写真を撮ります。その形や粘膜などの状態から、胃がん・胃炎・胃潰瘍・胃ポリープ(胃の壁がキノコのように膨らんだもの)などがわかります。
胃だけでなく、写真を撮った際に一緒に写ったその周辺にある肝臓・食道・十二指腸などの臓器の変化がわかる場合もあります。
ペプシノゲン(PG)
<基準>PGI 70.1(ng/㎖)以上、またはPG比 3.1以上(ー)
ペプシノゲン(Ⅰ型とⅡ型がある)とは胃液に含まれるペプシン(タンパク質を分解する物質)の素となる物質です。
血液中のペプシノゲン量を調べることにより、胃の粘膜の萎縮(老化のような現象で胃が縮み、働きが悪くなる)を調べます。胃粘膜の萎縮が進むと胃を守る働きが低下しがん細胞ができやすくなると言われています。
血液中のPGIが低下している場合やPG比(PGⅠ/PGⅡ)が低下している場合は、胃の粘膜の萎縮・炎症が起こっている可能性があります。定期的に胃カメラなど精密検査を受けましょう。
ピロリ菌抗体
<基準>〜3.9(-)
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは胃粘膜に感染する細菌。口から体内に侵入することで感染し胃に長くすみつくことで胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因と考えられています。ピロリ菌に感染すると体内にピロリ菌に対する抗体ができます。この抗体の有無を調べることでピロリ菌に感染しているかわかります。
→胃がんリスク検診(ABC検診)とは、上記のペプシノゲン(PG)とピロリ菌の感染の有無を調べることで胃がんの危険度を分類します。
ピロリ菌 | ペプシノゲン | 判定 | |
---|---|---|---|
A群 | (ー) | (ー) | 異常なし |
B群 | (+) | (ー) | 要精密検査 |
C群 | (+) | (+) | 要精密検査 |
※ | (ー) | (+) | 要精密検査 |
※の状態はピロリ菌が住めない程、胃の粘膜の萎縮が進んでいると推測されます。
大腸(便潜血)検査からわかること
大腸の働きは?
食べたものは口、胃、大腸(消化管という)などを通るうちに栄養分が吸収されていきます。そして不要となったものが便として排泄されます。 これら消化管のいずれか(特に大腸)に出血があると便の中に血液が混ざってくることが考えられます。
検査方法
専用の容器(道具)を使い、便の表面を軽くこするようにして、少量の便を採取します。基本的には2日間実施していただき、採取した便に血液が含まれているかを調べます。
異常があった場合は?
消化管からの出血の原因としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープ(大腸にキノコ状 のできものができる)、痔、胃や大腸のがんなどが考えられます。異常があった場合は医療機関で大腸カメラなどの精密検査を受け、原因を明確にすることが大切です。そして原因疾患のある場合には、医師の指示に従い治療が必要になります。