動脈硬化
検査結果が悪いからといって必ずしも病気が潜んでいるとは限りません。精密検査の指示のある方は必ず医療機関にご相談ください。
また、検査項目は関連性がありますので単独の検査項目だけでなく、他の検査結果と合わせてご覧ください。
動脈硬化の検査からわかること
どんな病気?
動脈硬化とは、血管壁にコレステロールが潜り込むことにより、血管壁が厚くなり血管の内側が狭くなったり、血管の弾力性がなくなり硬くもろくなった状態を言います。
腎臓の血管の動脈硬化が進むと「腎不全」につながり、脳などの硬くなった血管が破れると 「脳出血、くも膜下出血」、血管が狭くなり詰まった場合は「脳梗塞、心筋梗塞、狭心症」 などといった生命に関わるような重大な疾患にもつながる危険があります。
動脈硬化の原因は?
動脈硬化の要因は様々ですが、主にはメタボリックシンドロームをはじめとした 「(内臓)肥満」「脂質異常(高LDL(悪玉)コレステロール、低HDL(善玉) コレステロール、高中性脂肪)」「高血圧」「高血糖・高HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」 「高尿酸」「喫煙」「加齢(男45歳以上、女55歳以上)」などがあると動脈硬化の進行が速まります。
また、これらの原因は重なれば重なるほど動脈硬化の進行を速めます。動脈硬化は短時間で進行するのではなく、 10数年といった長い時間をかけ徐々に進んでいきます。上記の検査項目が基準値から外れている場合は、今から改善できるように、食事や運動などの普段の生活を工夫してみましょう。
検査項目の見方
眼底
画面を覗き、画面内の光る部分を見ていてもらいます。その間に眼球の奥にある網膜と呼ばれる膜を、特殊なカメラを使い写真を撮ります。その後、写真に写った網膜の血管の状態を調べます。
網膜の血管は体の中で唯一、直接みることのできる血管であり、高血圧や動脈硬化による血管の変化を見ることができます。
頸部エコー
首に超音波(耳では聞き取れない高さの音)をあて、頸動脈(首にある動脈)の写真を撮り、その色の濃淡より血管壁の変化をみる検査です。
動脈硬化による血管壁の肥厚(血管の壁が厚くなる)や、プラーク(血管壁の一部が山のように盛り上がった状態)や狭窄(血管径が細くなった状態)の様子がわかります。
脈波伝播速度(PWV)、足関節上腕血圧比(ABI)
<脈波伝播速度(PWV)とは>
両手足にカフ(血圧を測るための帯状のもの)を巻き、4箇所(両手足)の血圧を同時に測ります。心臓が収縮した時に送り出された血液(脈波)が腕や足に到達するまでの時間から脈波の伝わる速度を計算します。
血管壁が硬くなるほどこの値は大きくなるため、動脈硬化(血管の硬さ)の指標として用いられます。
<足関節上腕血圧比(ABI)とは>
腕と足の血圧を測り、その比を調べます。
この値が低くなっている場合は、下肢の動脈の狭窄(動脈の内径が細く狭くなること)が進んでいることが疑われます。
心エコー
肥満・高血圧・脂質異常・糖尿病所見などで心臓に負担がかかると、心臓全体が肥大したり心筋が厚くなります。これらの変化の状態として、心壁の肥厚や左心室の収縮力・ポンプ機能を評価します。(単一の検査というより労災二次健康診断として実施します)