腹部エコー
検査結果が悪いからといって必ずしも病気が潜んでいるとは限りません。精密検査の指示のある方は必ず医療機関にご相談ください。
また、検査項目は関連性がありますので単独の検査項目だけでなく、他の検査結果と合わせてご覧ください。
検査からわかること
腹部にはたくさんの臓器があります。特に、肝臓、胆のう、膵臓(すいぞう)、腎臓(じんぞう)、 脾臓(ひぞう)に超音波(耳では聞き取れない高さの音)を当てて写真を撮り、 その色の濃淡で臓器の変化(形や腫瘍などの異常な組織がないかなど)をみる検査です。
それぞれの臓器の働きは?
- ◉ 肝臓
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肝臓は体の中で最大の臓器です。肝細胞と毛細血管の集まりでできており、全身の5分の1の血液が常に流れ込んでいます。肝臓は壮大な化学工場であるといわれ、食べたもの(栄養)を体に必要な形の蛋白質や糖分・脂肪分に変えたり、糖分を貯えたり、アルコールや薬剤などを解毒するなどの重要な働きをしています。また、肝臓では老化した赤血球の分解によりできるビリルビンやコレステロールの分解によりできる胆汁酸などをもとに、脂肪の消化を助ける胆汁をつくり胆道から腸へ排泄しています。
エコー検査では肝細胞に脂肪がたまっている脂肪肝や、肝臓に体液と同じ水がたまった袋がある(原因不明)肝のう胞、血管の塊である肝血管腫などがわかります。 - ◉ 胆のう
- 胆のうは肝臓で作られた胆汁を濃縮し貯めておき、食事を摂取したあとに消化液として腸へ分泌しています。
エコー検査では、胆のうや胆管に石ができた胆のう(胆管)結石や、胆のう内にキノコ状のできものができた胆のうポリープなどがわかります。 - ◉ 膵臓(すいぞう)
- 膵臓は食べたものを消化・分解し栄養として体に吸収できる形にする膵液を作って十二指腸へ分泌しています。また、血糖を調節するインスリンというホルモンを作り、常に血液中へ分泌しています。
- ◉ 腎臓(じんぞう)
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腎臓には1分間に1リットルの血液が流れ込み、ろ過をして尿を作る働きをしています。血液中の老廃物の排泄の役割の他に、ホルモンの分泌(赤血球をつくる調節や血圧の調整、カルシウムの吸収に関わるもの)や、体液や電解質のバランスを一定に保つ働きがあります。
エコー検査では、腎臓に石ができた腎結石や、腎臓に水のたまった袋がある腎のう胞などがわかります。 - ◉ 脾臓(ひぞう)
- 脾臓は、大出血などの緊急時に備えて赤血球を溜めておき必要な時に大量に放出したり、古くなった赤血球を分解する働きをしています。