検査結果の見方

* 腎・泌尿器

検査結果が悪いからといって必ずしも病気が潜んでいるとは限りません。精密検査の指示のある方は必ず医療機関にご相談ください。
また、検査項目は関連性がありますので単独の検査項目だけでなく、他の検査結果と合わせてご覧ください。

検査からわかること

腎臓の働きとは?

腎臓には1分間に1リットルの血液が流れ込み、ろ過をして尿を作る働きをしています。 血液中の老廃物の排泄の役割の他に、ホルモンの分泌(赤血球をつくる調節や血圧の調整、カルシウムの吸収に関わるもの)や、体液や電解質のバランスを一定に保つ働きがあります。

検査項目の見方

検査項目 基準値 評価の仕方
eGFR(イージーエフアール) 60.0㎖/分/1.73m2以上 eGFRとは、腎臓の機能を示す指標でクレアチニン値と性別、年齢から推算します。
90以上を正常と考えて、60なら60%の機能に低下していることを意味します。
クレアチニン(CRE) クレアチニンは体の中でできた老廃物で、腎臓から尿中へ排泄します。腎臓の排泄機能が低下すると尿中に排泄できなくなり血液中に増えてきます。この値を用いて上記eGFRを推算して腎臓の機能の評価をします。
尿素窒素(BUN) 〜20.0㎎/㎗ 尿素窒素は、体内で使われた蛋白質の燃えカスです。大部分は腎臓から尿中へ排泄されますが、腎臓の排泄機能が悪くなると、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。蛋白質を多く摂取したときにも高くなることがあります。
尿潜血 (ー) 腎臓で尿が作られて尿管、膀胱、尿道を通って排泄される間のいずれかで出血があると尿中に赤血球が混じることがあります。
生理中の場合は潜血になりやすいため、生理終了後に再検査することが望ましいです。
尿蛋白 (ー) ろ過して尿を作る腎臓の血管が傷むと、蛋白が漏れ出て尿中へ排泄されてしまいます。
0.5g/日以上の尿蛋白があると判定は(+)になります。尿蛋白は腎臓病の重要なサインです。激しい運動の後には、健康な方でも蛋白が出る場合があるため、病気の有無をみるためには、早朝尿で検査することが大切です。
微量アルブミン尿 〜29.9㎎/gCr 通常の尿検査で尿蛋白が認められる場合には、すでにある程度腎臓の障害が進んだ状態といわれます。この検査は尿蛋白の判定が(+)となる以前の、腎臓の血管の傷み始めの状態が早期にわかる検査です。
腹部エコー検査 異常なし 腎臓に超音波(耳では聞き取れない高さの音)を当てて写真を撮り、その色の濃淡で腎臓の変化(形や腫瘍などの異常な組織がないかなど)をみる検査です。

慢性腎臓病(CKD)という考え方

慢性腎臓病(CKD)とは、2007年5月に日本腎臓学会から提起された新しい腎臓病の考え方です。 原因疾患に関係なく、腎臓の障害の程度を5段階に区分しています。この指標は、自覚症状がほとんどなく 気づいた時には手遅れという慢性腎臓病の現状から、早期発見・早期治療を願って予防のために示された指標です。
慢性腎臓病は、末期腎不全(透析が必要な状態)や心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など)の 大きな危険因子ですが、治療により重症化を抑えることができます。健診などでクレアチニンと尿蛋白・尿潜血の検査を受けて、自覚症状が出る前に発見し、適切な治療を行うことが大切です。

慢性腎臓病(CKD)とは

①尿(蛋白・潜血)や血液(クレアチニン・尿素窒素など)などで異常のある場合
②eGFRが60未満の場合
以上の2項目に該当する場合は、さらに腎臓の状態が評価できる検査を加えて経過をみます。

CKDステージ分類

eGFRの分類で以下のとおりに分けられます

腎機能

CKDの対処方法

以下の場合には、必ず腎専門医を受診し治療することが大切です。
①eGFRが45未満になった時
②1年間でeGFRが10以上低下している場合
③eGFRが45以上でも、尿蛋白が(2+)以上または、尿蛋白と尿潜血共に(+)以上の場合
★上記①〜③の該当の有無に関わらず、生活改善により腎機能低下を抑えることが大切です。

腎機能が低下する原因と生活の工夫

腎臓は障害があってもなかなか症状があらわれません。上記検査項目で要精密検査となった場合には、更に詳しい検査を行い、原因を明らかにすると共に生活指示を受けることが大切です。

遺伝的素因や既往歴

多発性腎のう胞などの腎臓病の遺伝や、腎炎や腎結石などの腎疾患やウィルス・細菌による風邪や膀胱炎等の感染症の既往や現病歴が原因となる場合があります。

生活習慣病

高血圧や糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、メタボリックシンドロームがあると、腎臓の血管の動脈硬化を進めます。

薬の副作用や喫煙

痛み止めや解熱剤などとして処方される「非ステロイド抗炎症薬」や、 風邪やウィルスなど体外からの細菌感染に対して処方される「抗菌薬」、胃潰瘍や慢性胃炎治療薬の「H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)」などは 腎臓から排泄される性質の薬剤であるため、腎機能が低下している時は薬の血中濃度が上昇し腎臓への副作用が起こりやすくなります。内服している場合には主治医と よく相談することが大切です。
喫煙をするとニコチンや一酸化炭素をはじめ200種類以上の有害物質が体に入ります。それらの物質は腎臓の血管を傷つけたり腎臓への血流を妨げるため、腎臓の血管の動脈硬化を進めます。

蛋白質と塩分のとり方

肉や魚などに含まれている蛋白質は、体内で必要な栄養と燃えカス(窒素化合物)に分けられて腎臓から排泄されます。たくさんの蛋白質を食べると、たくさんの燃えカスを処理するために腎臓の血流が増えます。仕事が増えることで腎臓の負担となり傷んできます。
血液中の塩分濃度は一定に保つことが必要なため、塩分を多く摂取すると腎臓は、血液量を増やして血圧を上げ排泄を促します。その結果腎臓の血管を傷めることにつながります。
蛋白質と塩分のとり方を見直し、腎臓の負担を軽減することがとても大切です。

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