検査結果の見方

* 肝臓

検査結果が悪いからといって必ずしも病気が潜んでいるとは限りません。精密検査の指示のある方は必ず医療機関にご相談ください。
また、検査項目は関連性がありますので単独の検査項目だけでなく、他の検査結果と合わせてご覧ください。

検査からわかること

肝臓は大化学工場です。

肝臓は体の中で最大の臓器です。肝細胞と毛細血管の集まりでできており、全身の5分の1の血液が常に流れ込んでいます。肝臓は壮大な化学工場であるといわれ、食べたもの(栄養)を体に必要な形の蛋白質や糖分・脂肪分に変えたり、糖分を貯えたり、アルコールや薬剤などを解毒するなどの重要な働きをしています。また、肝臓では老化した赤血球の分解によりできるビリルビンやコレステロ ールの分解によりできる胆汁酸などをもとに、脂肪の消化を助ける胆汁をつくり胆道から腸へ排泄しています。

肝臓

検査からわかること

検査項目 基準値 評価の仕方
AST(GOT)、ALT(GPT) 30IU/ℓ 肝臓の細胞の中にあり、上記の肝臓の働きで示したような化学反応を起こす物質です。肝臓の細胞が壊されると、血液中に流れ出します。基準を超えて高い場合は、肝臓の細胞が壊されていることを表わします。
AST(GOT)は、肝臓だけでなく心臓や筋肉の中にも含まれているため、AST(GOT)、ALT(GPT)あわせてみることが必要です。
γ-GTP 50IU/ℓ 特に、肝臓から胆道を通って十二指腸へ出るまでの間の障害に強く反応します。また、飲酒や薬を内服した時や脂肪肝の場合に高くなります。
ALP ~338IU/ℓ ほとんどの臓器に含まれていますが、血液中に増えた時には、肝臓・ 胆道・骨の障害が疑われます。AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの検査項目と併せて判断します。
ウロビリノゲン N 肝臓で作られる胆汁の中のビリルビンという色素は、ほとんどは便と一緒に排泄されます。 ウロビリノゲンはビリルビンが腸内細菌によって分解されてできる物質です。その一部が腸の壁から吸収されて、再び肝臓へ戻り、血管、腎臓を通って尿と一緒に排泄されています。 肝臓に障害があると尿へたくさん出ます。
腹部エコー検査 異常なし 肝臓に超音波(耳では聞き取れない高さの音)を当てて写真を撮り、 その色の濃淡で肝臓の変化(形や腫瘍などの異常な組織がないかなど)をみる検査です。

原因と改善のための工夫

肝臓は障害があってもなかなか症状があらわれないため「沈黙の臓器」と言われています。
症状がないため、上記検査項目で要精密検査となった場合には、更に詳しい検査を行い、原因を明らかにすることが必要です。

◉ 脂肪の蓄積
肝臓に脂肪が過剰にたまった状態を脂肪肝といいます。肥満や、20歳頃の体重に比べて著しい体重増加がある方に多くみられます。この状態が長く続くといずれ肝硬変につながるといわれますが、これは肝臓に脂肪をためている状態なので、 運動や食事量の減量などで摂取エネルギーより消費エネルギーを増やすことで改善できます。
◉ アルコールによるもの
飲酒の習慣のある方も脂肪肝になりやすいことがわかっています。多量飲酒を続けると肝炎や肝硬変へと進行していく場合もあります。 アルコールが原因の肝機能障害は、禁酒によって改善したり進行を食い止めることができます。
◉ 薬剤によるもの
人間の体には免疫という外部からの異物の侵入を防ぐ働きがありますが、これに異常がおこると薬剤に対してアレルギー反応が起こり、 肝細胞が破壊されたり胆汁の流れが阻害されておこることがあります。
◉ ウイルスによるもの
主にB型肝炎ウィルスやC型肝炎ウィルスによるもので、ウィルス保持者(キャリアという)は慢性肝炎や肝硬変、肝がんへ 進行することもあるため、早期発見・早期治療とその後の追跡に努めることが大切です。
検査項目 基準値 何をみているのか
HCV抗体 陰性 C型肝炎ウィルスに対する抗体(ウィルスを退治するもの)があるかをみています。
結果が陽性の場合は、現在C型肝炎ウィルスに感染している状態、もしくは過去に感染したがすでに治癒した状態のいずれかです。測定値により「低力価」「中力価」「高力価」(抗体の量が多いか少ないかがわかる)に分けられ、更に詳しい検査を行い、現在感染しているかどうかを確定します。
HBs抗原 陰性 B型肝炎ウィルスがあるかをみています。
結果が陽性の場合は、現在B型肝炎ウィルスに感染している状態です。感染が判明した場合は更に詳しい検査を行い、ウィルスの活動状態や感染力の強さなどをみることが必要です。必ず精密検査を受けましょう。

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